今日も今日とて、日本のどこかでITエンジニア達が飲み屋で愚痴を言っています。
「まったく! 次から次へとこんな面倒な仕事を受注しやがって」
とか、
「せっかく作ったソフトウェア製品、営業はなんでもっと売ってこないんだ」
とか。
ITに限らず、エンジニアという人種は、「作る」という仕事に情熱をかけます。
それはもちろん当然のことですが、そのかわり、とても大事なことを忘れがちでもあります。
「売る」という仕事の大変さです。
大変なのですよ。「売る」って。
とてもとても難しいことなのです。
「作る」という行為は、自分の力だけで成立させることが可能です。
時間を惜しまず努力すれば、きっと「良いもの」を作ることはできるでしょう。
頑張って勉強続ければ、きっと「良いエンジニア」になることはできるでしょう。
しかし「売る」と言う仕事はそうはいきません。
なぜって?
「販売」という行為は100パーセント「顧客の判断」で決まるからです。
「売る側」に決定権など微塵もありません。最後は「待つ」しかないのです。
この、「最後は待つだけ」という時間の切なさ、営業側の人なら痛いほど知っているでしょう。しかし、作る側のITエンジニアにはわからない人が多いのではないでしょうか。
というか。
まずは「売る」よりはるか以前の、「興味を持ってもらう」「知ってもらう」という段階で、そりゃもう大騒ぎな仕事が山ほど。
しかもそれは「どうすれば良いか」の正解が存在しない上に、かけた労力や費用に対して成功確率が驚くほど低い仕事です。
そこからスタートして、「発注の決裁通してもらう」段階にたどり着くために、世の中の営業職達がどれほど苦労して、どれほどの失敗を繰り返してきたことか。
「営業が取ってきた仕事はつべこべ言わずにやれ」と言いたいのではありません。
「売る」という仕事をやり遂げてきた彼らに対するリスペクトを忘れないようにしましょう。
ということです。