我々がビジネスにおいて通常行う業務上の契約には、主に「請負契約」「準委任契約」の2種類があります。
請負契約は、受注側が「仕事を完成」させて発注側に提供、その対価を得る契約です。
それに対して準委任契約は、発注側が「仕事の遂行」を受注側に委託する契約です。
請負契約には仕事を完成させる義務がありますが、準委任契約にはそれがなく、代わりに「善管注意義務」(善良なる管理者の注意義務)があります。
一般にIT業界では、要件定義や基本設計などの上流工程を「準委任契約」とし、その後の開発工程などの下流工程を「請負契約」とすることが多いです。
上流工程では「何を構築するか」ということ自体を議論・定義するため、「成果物」が不明確なのに対し、下流工程では「構築するものの定義」が終わっており、請負が可能、というのがその大きな理由です。
また、下流工程を元請企業がユーザ企業から「請負契約」で受注し、開発するITエンジニアを下請企業から「準委任契約」で集める、という形態もよく見られます。
さて。
この「請負契約」という契約、受注すると企業としてある種の「リスク」を背負います。
納期遅れによる経営インパクトが大きいのですね。
特にこの国では「月締め請求」がほとんどなので、納期遅れ(検収完了遅れ)がほんの数日でも、請求・入金がまるっと1か月遅れてしまうことがあり得ます。
だから、
小さな会社は「準委任契約」を基本としたSES型のビジネスを好むのですね。
基本的に毎月入金、これが重要なのです。
何を言いたいかというと。
絶賛請負開発中のITエンジニアの皆さん、もし納期遅れが想定される事態になったら、可及的速やかに、かつ正直に会社に報告しましょう。資金調達には時間がかかります。
ということがひとつ目。
もう一つは、日本も下流工程を準委任契約で進めるが当たり前な文化にならないかな。
という希望です。
「完成するかどうかわからない段階で支払いはできない」というお客様、とても多いのですけど…