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弱小IT社長のひとりごと
~この国の若きITエンジニア達へ~

【第3回】起業したら見えたもの

2023-06-21

会社を辞めるにあたっては、もちろん

 

「次はどうするか」

 

ということをあらかじめ決めておかなければなりません。

私はその時、「いわゆる『フリーランスのエンジニア』にはならない」と決めていました。

だって、それは契約の種類が変わるだけで、仕事の仕方は何も変わらないのですから。

 

無事に円満退職が決まった私は、会社から担当していた顧客を引き継がせてもらい

(在職中にいくつか、請負開発で顧客に小さな情報システムを構築していました)、

個人事業主として情報システムの保守契約をしてもらうことから始めました。

 

さらに、本コラムの本筋からは外れますが、「独自開発ツール」の開発にも着手しました。

 

最初は少しずつでしたが、新規開発案件なども徐々に着手できるようになっていき、法人化したのは独立後1年半ほど経過した頃でした。

 

その頃、実際に構築側の責任者として顧客と直接取引しながら痛切に感じたことがあります。

 

「責任の重さ」でした。

 

弱小とはいえ、一応、情報システム開発プロジェクトの最終責任者です。

無茶苦茶な要求を追加提示されても、週末の朝に突拍子もない質問が携帯電話にかかってきても、「逃げられない」のですね。

 

顧客の言いなりになる必要はないまでも、その都度なにかしらの「着地点」に自分で持って行かなければなりません。

あらゆることについて、プロジェクトの完了まで、です。

 

これがSES型の仕事であれば、「この現場続けたくないです」と担当営業に強く訴えれば、数か月の契約期間終了時点で延長せずにプロジェクトから引き上げることができます。

 

もちろん、たとえ責任者であっても、極端に無茶苦茶な納期や仕様とか、パワハラセクハラがまかり通るようなプロジェクトからは逃げていいのですが、その場合であっても「そういう結末」に「自分自身で」持って行く必要があります。

 

今までいかに「ぬるい」環境にいたか、痛感させられました。

 

この「逃げられない責任を背負う」ということが、私の独立後の原体験となったのです。