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弱小IT社長のひとりごと
~この国の若きITエンジニア達へ~

【第48回】「五十年」対「五千年」

2024-04-30

昔、当時勤めていたソフトウェア開発会社で、日中に周辺が一斉に停電になったことがあります。

周辺地域の配線トラブルが原因でした。

 

仕事中に突然、電源が落ち、しばらく復旧しない。

 

鋭意開発作業中だった私たち、その瞬間から完全に何も出来なくなりました。

 

ビックリしました。

 

電気がなければ、我々ITエンジニアって、ただの「木偶の棒」だったのです。

 

 

別の話です。

 

私が参加しているIT技術者の交流会で、とある大学教授の講義を聞いたことがあります。

 

「農業とIT」を研究している先生でした。

 

その講義がとても印象的でした。

 

「君たちIT業界の人は、『農業のIT化』というテーマになると、農業従事者を『ITリテラシの低い人』と、割と下に見がちだ。しかしそれは逆だ。農業とは実に五千年以上の歴史を持つ産業であり、その間ずっと研究を進めてきた。君たちIT業界の歴史は?せいぜい五十年かそこらだろう。君たちの方こそ、先達たる『農業』に歩み寄り、謙虚に教えを乞うべきだ」

 

という内容でした。

 

他にも、

「ネットカメラの設置では、『葉っぱの裏側をひっくり返して見る』ことができない。それでは植物の健康状態はわからない」

とか、

 

「『日本の水田は小さい』というが、稲作で水面を一定に保ち続けるためには、今の広さが限界」

とか、

 

言われてみれば納得!

 

な数々の話を聞かせて頂きました。

 

そうなのです。

 

「IT業界」って、確かに「先端産業」かも知れませんが、それはつまり「未成熟」ということに他なりません。

 

「ITエンジニア」って、停電しただけで「木偶の棒」と化す、とても「脆弱な職種」なのです。

 

IT業界なんて、第一次産業や鉄鋼や建築など、我々が顧客としている歴史ある下天の業界に比べれば、たかだか五十年そこらの、夢幻のごとき業界なのです。

 

その謙虚さを、我々「ITエンジニア」は常に持ち続けなければいけないと、私は考えています。

特に「コンサルティング業務」を担った時こそ、です。