残念ながら令和の現在でも、「使いにくい情報システム」は散見されます。
数多くの入力項目を全て入力後、最後の操作をちょっと間違えただけでそれまでの入力が消えてしまい、もう一度最初からやり直さなければならない、とか、
有名なところでは入力数値の桁を間違えると、常識的に異常値であることが明確なのに、そのままの数値でとんでもない取引データが出来上がってしまう、とか。
あまり言いたくはないのですが、役所関連とか、公共機関に近いところほどそのような情報システムに出会う確率が高いように思います。(個人の感想です)
なぜ、そのような「使いにくい情報システム」が出来上がってしまうのでしょうか。
私は、その大きな原因の一つが前回の記事で書いた「多重下請構造とSES契約」なのでは、と考えています。
開発工程を担うITエンジニアは、「提示された設計通りにプログラミングする」ことを至上命題と考えます。
その設計が本当に最終ユーザにとって適切かどうかを考えません、というか、そもそもそのような思考を持つことを許されていません。
では、「使いにくい設計」はどのように生まれるのか。
想像ですが、この国特有の「組織構造」が、「情報システムのUIの在り方」とか、「最終ユーザの使い勝手」というようなことを「知らない人」に設計の決定権を持たせてしまう。そんなことがたまに起こるのではないでしょうか。
私は思うのです。
ITエンジニア(特にプログラマ)は、たとえ下請けでも、仕様や設計にもっと意見を言うべきだと。
そのような機会や風土をプロジェクト組織に持ち込むのもプロジェクトマネージャの責務のひとつではないかと。
そして、ITエンジニア(特にプログラマ)はもっと自分たちが組み上げるプログラムに責任をもつべきだと。
そのプログラムが最終ユーザにはどう見えるかについて思いをはせながらプログラミングするべきだと。
「言われた通りに作る」のが良い情報システムとは限りません。
良いITエンジニアの姿とも思えないのです。