「会社経営で一番苦労するのはどういったことですか?」
という質問を何回かされたことがあります。
ごめんなさい。それ、愚問です。
答えはひとつしかありません。
「資金繰り」です。
この国の小さなオーナー企業の経営者であれば、ほぼ全員がそう答えることでしょう。
「資金繰りの苦労は、やった者にしかわからない」と、多くの社長さんが言います。
その通りです。私もやってみて本当にびっくりしました。
特にIT企業の場合、「得意客が何年もの間、毎月継続的に購入してくれる」という商売形態ではないことが多いため、「事業の安定」がなんとも見えにくいという特徴があります。
それでも事務所経費や外注費用、従業員給与は毎月同じ日に必ず払わなければなりません。
ずっと不安なのですよ。「仕事が急になくなる」こととか、「大きな金額の請負契約が遅延する、最悪破綻する」ということが。
もちろんそのために金融機関との取引(借入)は行います。
しかしそれには「企業としての信用」が絶対に必要です。そしてこの国では「信用」の根幹は「長く続けていること」なのです。
つまり、起業から最初の数年間くらいが「信用」も低く、売上も平均化していない試練の時期ということになります。
当社の場合、その時期があのリーマンショックと重なりました。(最悪でしょ?)
いやあ大変でしたよ。毎月「ああ、今月も何とか乗り切った…」の繰り返し。
家計からの持ち出しだって当然のようにやります。
まあ、それで何とかなる程度の事業規模の内に資金繰りの苦労というか、コツのをつかめたのでいい経験にはなりましたが。
最近になってようやく、長年契約頂いている多くの得意先からの平均化された売上がかなり先まで見通せるようになり、長く続けてきたことによる金融機関からの「信用」も安心できるレベルになったため、そこまで資金繰りに苦労しなくても済むようになりました。
だから、ですね。
小さなオーナー企業にお勤めの皆さん。
社長が会社名義の高級車を乗り回していたり(これ、実は有効な節税対策です)、毎日のように会社の金で飲み歩いたりしても(これも節税効果のある営業行為です。ほ、本当ですって!)、あまり目くじら立てないでください。
それ、会社の状況が悪くないということですから。