当社のような弱小企業でも採用活動は行います。
とはいえ、以前のコラムで書いたように、私はこの国の「新卒至上主義」に反対の立場であり、いわゆる「新卒採用活動」は一切行っておりません。
その上、若者の将来不安を必要以上に煽って一律に同じ行動をさせようとする就活や転職エージェントにもあまり良い印象を持っていないため、派手な採用サイトの広告なども出していません。
なので、採用活動としてはどちらかと言えば地味な、公的機関の「若者正社員チャレンジ事業」みたいなものに好んで参加しています。
そこでも当然、応募者に向けたアピールを文章やプレゼンテーション資料などにまとめることがあります。
その際、当該事業の主催者(公的機関から業務委託受けた民間企業)の人によくこう言われます。
「最近の若い応募者は、入社後の研修内容と、その後のキャリアパスにとても興味を持っています。だからその2点については十分な説明を入れてください」
もちろんその気持ちはよくわかります。
「入社したらどんな研修で勉強するのだろう」
「数年後、どのようなキャリアを身に付けることができるだろう」
当然の疑問と言えます。
が。
少なくとも私が住んでいる「業務系ITエンジニア」の世界には、
「受けただけで一人前の技術者になれる研修」は存在しません。
「数年経てば誰にでも自動的に提示されるキャリアパス」も存在しません。
「研修」はあくまで基礎学習に過ぎず、「ITエンジニア」としての真の実力はその後の実務経験で、自分の力で手に入れるものです。
また、よく言われる「経験積んでサブリーダからマネージャに」や、「いずれはコンサルタント」みたいな「キャリアパス」は、日々の仕事を受け身でこなしているだけではやはりダメです。
(いや、肩書上はそうなるかもしれません。でもそれ、実力が伴ってないと…以降省略)
本当の「キャリアパス」とは「与えられるもの」ではなく、「自分で考えながら作っていくもの」なのだと、私は考えています。