情報システム開発プロジェクトも佳境を乗り越え、そろそろ「納品」「検収」「稼働開始」が見え始めた頃。
物凄い存在感で、開発側のエンジニア達を苦しめるものがあります。
「課題管理表」とか「懸案事項一覧」とか、様々な名前で呼ばれるあのリストです。
要するに、「現時点では対応完了していないが、これから対応すべきことの一覧」なのですが、このリストが「0件になる」ことが「プロジェクト完了」と認識されることが多いのですね。
だから、リーダーやマネージャ達は必死になってリストとにらめっこを続けます。
ところでこのリスト、ある種の特徴があります。
「かなり前に記載された項目なのに、まだ手を付けられておらず残っている(優先順位が相当低い)」
「比較的初期に記載された項目に、対応がとても大変な『大物』が複数いる」
「もう別の方法できるようになったし、今更やらなくてもいいんじゃないの?という項目がある」
などです。
あと、もう一つ。
「未だに新しい項目が追記され、いくら対応進めてもなかなか項目数が減っていかない」
という特徴です。
…そろそろお気づきでしょうか。
このリスト、絶対に0件にはならないことに。
なぜそうなるか?ですか?
情報システム、特に業務系情報システムに「完成」というものが存在しないからです。
工程進めれば進めるほど、「もっとこうしたい」「こうすべき」が明確になり、後から後から修正や追加要望が出続けるからです。
だから、そのことと、「検収」はある程度切り離して考える必要がある、と私は強く考えています。
とにかく最低限の優先項目を対応したら、とりあえず稼働開始してみるべきでしょう。
最初はバタバタしても無事動き始めたら、ひとまず検収をしてもらいましょう。
そして、無事保守契約に移行できたら、もっと意味のあるリストを再作成して、時間かけて情報システムを成長させれば良いのではないでしょうか?
数か月も経つとあら不思議、あのリストの残項目、大部分がうやむやになっています。