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弱小IT社長のひとりごと
~この国の若きITエンジニア達へ~

【第76回】U社長の思い出(2)

2024-11-25

情報システム構築プロジェクトのあるあるですが、日々の仕事が完全に手順化されている企業、それも比較的小さな企業の「業務プロセス」って、全体像を把握している人が顧客企業内に存在していないことが往々にしてあります。

 

そのためいくら業務要件や仕様を聞き出しても、「完全系」「完成形」が見えず、ある程度設計が進んだ段階、ひどいときには稼働が始まった後でも「あの機能はいつできるの?」と、聞いたこともない機能を当たり前のように後から要求されます。

 

U社長の情報システム構築プロジェクトがまさにそれでした。

 

「渡された設計書通りにプログラムを組む」という作業を前提としたSES型のプロジェクト参画との違いに驚いたものです。

 

顧客担当者が口にする「業界用語」などは難関で、例えば「ある条件を満たすと、ある種の値引きを行う」という慣例があり、それに名前が付いていたりします。

 

情報システムは当然のようにその慣例を満たす値引き処理を行わなければいけないのですが、顧客企業からすると、「そんなこと業界の常識で、いちいち中身を言わなければ機能にならないの?」と、まあまったくもって理不尽かつ無体なクレームが稼働後(!)に入ります。

 

そんなこんなでひたすらバタバタが続き、いつになったら終わるのやらこのプロジェクト…

 

その上さらに、U社長が主張する「謎のデータ分析機能」の実現を考えなければなりません。

 

U社長の強い主張は

 

「過去のことは集計すればわかる、そうではなくて未来を知りたいんだ」

 

えっと…

 

大量データを統計学的に分析すれば近未来の傾向をある程度算出することはできますが、失礼ながらこのシステムには10人で回せる程度のデータ、それも受注データしかないのですが…

 

しかもU社長、若干オカルトちっくなところがあって、経営者として何か決断を必要とする場面になると、なぞの水晶ペンダントを持ち出して振り子のようにかざし始めたりする人です。

 

「とても難しいYesかNoかの決断をしなければならないとき、決断の根拠は何でもいい」という経営者の理念はわかるようになりましたけどね、最近。

 

で、どのような分析機能をお望みで…