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弱小IT社長のひとりごと
~この国の若きITエンジニア達へ~

【第77回】U社長の思い出(3)

2024-12-02

そんなこんなでカオスなU社長のシステム構築プロジェクトですが、ちょうど本稼働開始した頃、私は所属していた会社を退職、独立しました。

 

独立にあたり、U社長の情報システムに関する一切(商権、著作権など)を所属会社から譲ってもらい、情報システムの面倒を私一人でみることになりました。

 

いわば駆け出し中の駆け出し。

 

そんな状況だったため、「損得抜きで顧客をつくる」ことに時間を費やすことができた、という側面があります。

まだ従業員も事務所もなかった頃ですから、必要経費がとても少なく、U社長の無茶な要求にもある程度付き合えたのですね。

 

もちろん、私にも様々なミスや落ち度がありました。

 

本稼働初日にはいつも夕方までには終わっている業務が夜中まで終わらず、社内が平静を取り戻すまでには丸一週間かかりました。その分、社員の方々には多大な残業代が発生しているはずです。

 

また、発注書がバグのために印刷できず、仕入先に迷惑をかけたこともあります。

 

そんな時のU社長、普段は無茶言う人ですが、トラブル時に一度も私を怒ったことはありませんでした。

ソフトウェアの問題で困ったことが発生しても、どちらかと言うと泰然としていました。

 

私がこのシステムに全身全霊をかけて取り組んでいることを、よく理解してもらっていたのかも知れません。

 

だからこそ、私もU社長の無茶苦茶な要求を拒否することなく、「出来る範囲で」付き合って行けたのでしょう。

 

「ユーザとは、無茶を言うものだ」

 

「ユーザの要求とは、際限ないものだ」

 

「それでも良い関係が作れれば、お互いメリットがある状態で長く付き合うことができる」

 

独立早々、そんな強烈な印象を私に与えたU社長でした。

 

(話はまだ続きます)