私が弱小ソフトウェア企業から独立し、小さいながらも顧客と直接取引で業務用情報システムを請負開発するようになった頃、痛感したことがあります。
「ソフトウェア開発ができるという技術自体に、実はほとんど価値などない」
ということでした。
大したことではないのです。「ITエンジニアである」ことなんて。
「プログラミング言語を知っている。プログラムを組める」なんて、それだけでは「手に職」には程遠い、基本中の基本でしかないのです。
職業人として知っておくべき、身に着けるべきことは、IT関連スキル以外にもたくさんあります。
あるいはIT業界の専門家として徹底的に技術畑を進むなら、日々の仕事以外で勉強すべきことはそれこそ山のようにあります。
そのことに気付くことが、将来困った状況(初老過ぎて仕事探すのに履歴書経歴書を転職エージェントに送りまくり、それでも就労先がみつからないような状況)に陥らないための、まずは第一歩だと考えています。
私が考える「ITエンジニアの良い行末」は概ね次の5つです。
(1) 自社で管理職を全うし、できれば経営に携わるレベルになる
(2) 特定の「技術分野」で国内トップレベルの技術者になる
(3) 特定の「業務分野」で国内トップレベルの技術者になる
(4) 自社開発ソフトウェア製品を世の中に送り出している会社で主力になる
(5) ユーザ企業内あるいはそれに近い位置で、重要な情報システムの主になる
これらは完全に単独ではなく、複合ケースもあり得ますね。
そうそうそういえば、これら5つに共通して必要なのは「ちゃんと話せる」ことです。
いや、笑いごとでなく、「ITエンジニアはもっと饒舌になりましょう」というのが最初の入口だと私は考えています。
もちろん人それぞれ得意不得意はあります。
でも、人と人とのコミュニケーション、特に会話というのは、意識的に頻繁に行うことで、数年でかなり上達というか、まったく問題ないレベルに達することができると考えています。(当社実績により)
それでは、上記5つそれぞれについて、次回以降に順を追って詳しく説明していきましょう。